相続登記の義務と期限はある?デメリットを知れば後は解決するだけ

相続してから不動産について何もしていないけど期限はあるの?
不動産の登記をする義務を果たさないと罰則があるのかな?

そんな疑問や不安はないでしょうか。

こちらの記事では、不動産の相続登記をするのに期限や義務があるのか、相続登記をしないで放置していることでどんなデメリットがあるのかが分かります。

早く相続登記をしなくちゃ!

と動くきっかけになるでしょう。

また、相続登記はどうやってすればいいのかも分かります。

司法書士の仕事で相続登記をたくさんしてきた経験を活かして、相続登記について詳しくない方のために分かりやすく説明をしていきます。

相続登記に義務や期限は(今のところ)ない

まず、現状は相続登記をする義務も期限もないんです。

相続登記をしないままでいると、不安になるのが「義務」と「期限」です。

「なんだか大変そう…」と相続登記をしないでいても、不安を抱えたままでは落ち着きませんよね。そこで、まずは「義務」と「期限」についてはっきりさせておきます。

「じゃあ大変そうだし相続登記しなくてもいいじゃん!」

と思うのはちょっと早とちりです。

司法書士 つづの
司法書士 つづの

相続登記は近い将来義務化される見込み

改正案が予定通り成立していけば、数年以内おそらく2020年代中には相続登記の申請が義務となってしまう見込みです。

2019年2月に法務省において、相続登記の義務化を含む改正案を2020年の臨時国会に提出したい考えだと発表されました。

義務化へのきっかけの1つは東日本大震災です。相続登記がされておらず大昔の所有者しか登記されていないような所有者不明土地があったため、仮設住宅の設置や復興作業の妨げとなってしまいました。公共だけでなく、民間でも所有者不明土地は活用ができません。

そのため、ついに義務化しようという流れになっています。

申請に期限が設定される可能性が大

不動産の相続登記をしないまま期限が経過しまうと、不動産の所有権は無くなったりしないのか不安はないでしょうか。相続登記には申請の期限というものが現状はありません。そのため、申請しないでいることで所有権が無くなってしまった!ということにはなりません。

しかし、前述のように将来相続登記が義務化された場合には、期限が設定され、期限を過ぎると罰則がある可能性もあります。

現在、相続登記の申請期限はありませんが、相続登記申請に添付する書類には期限があるものがありますので注意しましょう。

添付書類の期限については、取得方法なども合わせて後でまとめていきます。

相続登記を放置した場合の4つのデメリット

相続登記はなるべく早めにしておくべきです。

相続登記もタダじゃないのだからできればしたくない、と思うかもしれませんがやらないでいるとデメリットが色々とあります。

大きくデメリットをまとめると以下の4つがあります。

  • 時間が経つほど相続登記のコストがかかる
  • 不動産の売却ができない
  • 空き家問題など負の資産となる可能性
  • 不動産が突然差し押さえられる可能性

それぞれどのようなデメリットなのかもう少し詳しく説明しますよー。

登記のコストは時間経過で増え続ける

相続人もいつかは亡くなります。それが早いことも遅いこともあります。

不動産の名義を相続人に変更する登記申請をする前に、本来申請をするべき相続人が亡くなると「相続人のさらに相続人」が登記をしなければなりません。そうなるとどんどんコストがかかるようになります。

コスト増の具体例

一つ具体例を見てみましょう。

父が亡くなり、

  • 長男
  • 次男
  • 三男

が相続人となったケースです。全員で遺産分割協議をして誰が不動産を相続するのか協議書を作り、登記を申請します。

しかし、放置もしないまま5年が経ち、状況は次のように変化していきました。

1年後に母が亡くなり、5年後には事故で三男も亡くなってしまいました。

すると、手続きをする人が変わってきます。

  • 長男
  • 次男
  • (三男は死亡)
    • 三男の妻
    • 三男の長女
    • 三男の次女

三男の代わりに手続きをする人が増えてしまいました。この全員で遺産分割協議をすることになります。全員集まるのがより大変になってしまいました。

また、親族関係も少し遠縁となり話し合いをまとめるのが大変になってしまいました。

さらに面倒なのは、未成年者は自分で難しい遺産分割協議をすることができないので大人が協議を代わりにしなければなりません。普段なら親である「三男の妻」が代わりとなりますが、「三男の妻」も自分の財産の権利があるので利益相反関係と言われ、代理することができません。

未成年者の代わりに「特別代理人」という人を裁判所に選任してもらわないと遺産分割協議をすることができないのです。

え?裁判所に選んでもらう?どうやってやればいいの?

全くその通りで、やり方を調べたり司法書士などの専門家に依頼しなければなりません。この例に限らず、相続登記を申請せずに放置していることで、お金や時間といったコストが上がっていくデメリットがあります。

不動産の売却ができない

相続登記がされていないと誰も不動産を買ってはくれません。

不動産の売買をするときには、登記申請をして新しい所有者の名前を記録します。

しかし、相続登記をしていない状態の不動産は故人の名義のままであり、売主(相続人)の名義となっていないため、新しい所有者の名前を登記することができません。

同じように不動産を担保に入れてお金を借りることもできません。不動産の相続登記をしないと、相続した不動産を活用することができないのです。

空き家問題など不動産が負の資産となる可能性

相続した不動産が空き家となってしまうことはよくあります。相続登記をしなくても、相続人はその不動産を適切に管理しなければなりません。実際に次のような問題がでてきます。

  • 建物の価値は急激に下がる
  • 管理の費用はどんどん上がる
  • 取り壊す費用も高くなっていく
  • ボロくなると買い手がつかなくなる

このようにき家は時間が経つほど負の資産となっていく危険性が高いものです。

でも建物を壊して更地にしてしまうと、土地の固定資産税が上がっちゃうのでは?

という疑問があるかもしれません。

これは、一昔前はその通りでしたが、最近は空き家問題を受け、「特定空き家」に指定されてしまうと固定資産税が上がってしまうこととなっています。罰金や行政代執行の可能性もあるので、固定資産税が上がらないようにという理由で建物を残しておくのはやめた方がよいでしょう。

不動産が差し押さえられる可能性

相続登記をしないと不動産が差し押さえられ、赤の他人と不動産を共有する事態になる可能性が出てきます。

不動産は相続登記をすることで、相続人の誰が不動産の所有者となったのかがはっきりします。しかし、相続登記をするまでは「相続人の全員で共有している」状態だと推測されます。

そのため、相続人の1人が借金を返済できず差し押さえを受ける場合には、この不動産も差し押さえられてしまいます。

相続人の中には借金してる人はいないから、うちには関係ないね。

と思っていても、先程の具体例のように「相続人が亡くなり、その相続人」くらいまで関係が離れてしまうとどうでしょうか。時間が経つほど相続人の人数は増えていくので、差し押さえに遭う危険性も高くなっていきます。

もし、差し押さえられてしまった場合には、それ以降債権者も遺産分割に関係してくることになるので手続きは大変になります。差し押さえられた持分が競売されれば、落札者(赤の他人)と不動産を共有することとなり、不動産の管理や利用が困難になります。

相続登記の申請方法は

相続登記を放置する大きなデメリットを回避するためには早く申請をしておくことです。それでは、相続登記を申請する方法とは一体どのような選択肢があるでしょうか。

  • 自分で申請する
  • 専門家である司法書士に依頼する

このどちらかから選んで登記申請をします。それぞれの特徴を確認していきましょう。

自分で申請手続きをする(やる事は多い)

簡単な相続登記であれば、手続きのために動ける時間がある人は自分で申請をしてしまうことも十分にできます。

相続登記は、不動産所在地ごとにある法務局に申請書を提出します。添付書類も一緒に提出する必要があり、代表的な添付書類は以下のようなものがあります。

添付書類 取得・用意方法 注意点
登記申請書 自分で作成 なし
登録免許税(収入印紙) 郵便局など なし
戸籍謄本等 本籍地の市役所窓口など

相続発生後に発行したもの

相続関係説明図 自分で作成 なし
亡くなった方の住民票の除票 住所地の市役所窓口など なし
相続人の住民票 住所地の市役所窓口など 取得後3ヶ月以内
固定資産税評価証明書 所在地の市役所窓口など 申請と同じ年度のもの
遺言書or遺産分割協議書 遺産分割協議書は自分で作成 なし

相続人全員の印鑑証明書

(遺産分割協議書を作る場合に必要)

住所地の市役所窓口など なし

先程の具体例の「未成年者の特別代理人を選任する」など、特殊な事例では添付書類はもっと増えます。ここに挙げた添付書類はあくまで一般的な相続登記のものです。

戸籍謄本、住民票や除票の集め方については「本籍地以外で戸籍を取る?4つの方法からベストな方法を教えます。」で詳しく説明しているのでどうぞ。

相続関係説明図の作り方については「フリーの作成ソフトで相続関係説明図を自分で作る方法」で解説しています。

遺産分割協議書も自分で作るとなると、どうやるのか困る書類ですが「書き方のコツを押さえて自分で簡単に遺産分割協議書を作る!」の記事にまとめています。

登記申請時にかかる登録免許税は固定資産税評価証明書に記載されている「不動産の価格」の0.4%となります。固定資産税評価証明書は不動産のある市町村の税務課等や、都税事務所といった場所で取ることができます。

申請書の書き方は、法務局のサイトで調べるほか、法務局の無料登記相談で聞くこともできます。

法務局の無料相談には事前予約が必要で、みんなが利用するために相談時間が限られています。自分で申請しようとする場合には繰り返し何度も相談に通うことになります。そのため時間に余裕を持って始めておきましょう。

専門家司法書士にまるごと依頼する方法(費用がかかる)

相続登記は自分で申請することができます。しかし、必要な書類、作成する書類や税額の計算など用意すべきことが非常に多くあって結構面倒なものです。

そのような複雑な手続きであるため、登記を専門に行う「司法書士」という国家資格があるのです。

「確定申告は自分でできるけれども、大変だから税理士さんにお願いする」というのと同じですね。
司法書士 つづの
司法書士 つづの
  • 相続登記のために時間と手間をあまりかけたくない
  • 少し複雑な相続になってしまったので自分では難しい

のであれば、司法書士に依頼した方があなたの大切な時間を節約することができ、結果として得をすることにつながるでしょう。依頼をすれば必要書類の収集や作成、法務局との申請のやり取りまで司法書士に全部やってもらえます。

まとめ

相続登記はできるだけ早めにすべきです。

なぜなら後に回すほどデメリットが多くなるばかりだから。ぶっちゃけ何も良いことは無いです。本当に。

できればやりたくないなぁどうしよう?と思うくらいであれば申請の準備を始めてしまうのが一番良いです。自分で申請するのはやっぱり難しいとなれば、途中の状態で司法書士に持っていっても大丈夫ですし、司法書士のやる仕事が減る分、割引を受けることができるかもしれません。

長い目で見れば放置するのが一番ソンですよ!

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